2015年10月15日木曜日

Trekel公開レッスン

ARTEフェスでのこの2日間は,会場に居合わせた東日本のマンドリン好きにとりましては実に刺激的でコアな時を共有できたのではないかと思います. さて,東京3日目は高円寺の片岡マンドリン研究所で開催される「Steffen Trekelマスタークラス公開レッスン」に聴講者として参加してまいりました.講師TrekelさんはこのたびのARTEフェスに審査員,演奏者として招かれたドイツ人マンドリニストです.これまでイタリア人講師のレッスンは聴講したことがありますが,ドイツ流は初めてなので興味津々です. 受講者は独奏で6名と二重奏の1組でした.独奏の中で3名ほどがレオーネの作品「神の御光」を取り上げていて,それぞれが弾き方やテンポの取り方に違いがあり,トレッケルさんはその奏者の特性を踏まえつつ,適切な指導をされておりました.ただし,レオーネ(1725-1790スペイン出身?)の時代を振り返り,当時の楽器にはそれなりの弾き方があり,トレッケルさんが使用しているドイツマンドリンはその頃の音色を基本的に継承した造りになっているとのことです.トレッケルさん愛用のピックはべっ甲やプラスチック製ではなく,硬めのゴム製のような材質でできています.ピックは親指と人差し指でつまむように深めに持ちます.ですので指から出るピックの先の部分はかなり少ないようです.ダウンストロークはけっして跳ねず,下の弦まで深めに当てる感じです.多くの受講者が指摘されていましたが,右手の動きが力み過ぎで,それに連動して左手まで力んでしまっているとのことです.脱力が大切なんですね. この2日間のコンクールでの演奏もそうでした.力んだ演奏は音楽を楽しめませんし,聴衆は疲労感を味わうだけで終わってしまいます.脱力した演奏は楽器本来の機能を発揮させ,聴衆にも歪の無い音の波として伝わり,心の奥底を震わせるのだと思います. トレッケルさんのレッスンは受講生に穏やかに応じ,流儀を押し付けることなく,要点を押さえた有意義な内容でした.音色にも表れるそのお人柄が伺われます. レッスン終了後は打上げ会が予定されておりましたが,私は娘の誕生日祝いの食事会のため失礼しました.娘は仕事に遊びに頑張ってはいるようなのですが,そろそろいい歳なので相手はいないものかと気になる頃ではあります.カミさんと3人での食事は本当に久しぶりなので,ちょっと贅沢ですが神楽坂のふぐ料理屋に入ることにしました.ふぐを頂くのは何年ぶりにもなりますが,まことに美味でした!先進国日本にいながら明日の食事もままならない貧困の子供さんも数多くいると聞きますが,こうして家族そろって美味しい食事ができることにただただ感謝するのみです.
レオーネ時代のマンドリンを試奏
受講生の友人と合わせ
通訳の児嶋さんとの二重奏
右がトレッケルさん愛用のピック,左は私用のベッコウ製(従来),中はセルピック(現在)
「福佳三昧」と「てっさ」

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