2018年1月13日土曜日

ルージュの手紙

アメリカ映画界で長い間見過ごされていた権力者によるセクハラ行為の発覚がもとで,世界中を♯Me Tooが駆け巡っています.過剰なんじゃないの~と思っていたところに立ち上がったのがフランスの大女優カトリーヌ・ドヌーヴさんをはじめとする100名のフランスの著名女性たちです.「ただ誰かの膝を触っただけ,誰かにキスしようとしただけで,多くの男性が問答無用に罰せられ,職を追われてきた」と批判しています.「強姦は犯罪だが,誰かを口説こうとするのは(たとえそれがしつこくても,あるいは不器用でも)犯罪ではない.そして男性が紳士的にふるまうのは決して男尊女卑な攻撃ではない」と主張しているようです.  猫も杓子もと一辺倒に偏りがちなアメリカ人にくらべ,さすがに自由と恋愛を自己主張するフランス人だなあと妙に感心してしまいました.  そんな訳で注目を浴びる女優カトリーヌ・ドヌーヴが出演する映画「ルージュの手紙」です.女性同士の不思議な世界が進んでいきます.頻繁に映し出されるのは主人公のカトリーヌ・フロ扮する助産婦が産まれてくる赤ん坊を取り出すシーン.女性にしか持ち得ない観念を象徴しているかのようです.  実はカトリーヌ・ドヌーヴは高校生の頃から雑誌「スクリーン」等で憧れの女優として眺めていたと思うのですが,出演映画は一度も見たことがありません.幾度となくマンドリン演奏した「シェルブールの雨傘」でさえも.ですので若かりし頃のグラビアでの印象しかないのですが,70代のカトリーヌ・ドヌーヴはその貫禄とともに自由奔放な役柄を見事に演じていたように思います.  監督はマルタン・プロヴォ.男性ながら女性の深い内面を描き出すことに定評があるようです.本作品のエンディングもはて?ありきたりな男には到底わからない世界です.

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