2015年9月26日土曜日

トップダウンの危うさ

ドイツVW社のディーゼル車排ガス装置が全世界に波紋を呼んでいます.車両検査時には規定通りの排ガス性能を発揮し,通常運行時は規制の数十倍のNOxを排気するといったプログラミングが組まれていたというものです.このところVWはトヨタと新車販売台数競争で熾烈な戦いを展開しており,昨年度は初のトップを勝ち取りました.従来遅れをとっていた米国での販売にカツが入ったためです.米国でのディーゼル車排ガス規制は世界で最も厳しいものでした.そこにVWの経営トップからの販売計画完遂の命令が出て,現場としてやむにやまれぬ対応をしてしまったというのが大方の憶測ではないでしょうか.その厳格な国民性から生み出される工業製品は「固くて丈夫で,堅牢な」という高品質を誇りとしていました.同様に高品質が売りの日本としても,ドイツはまさに工業製品製造のお手本として見習うべき国であり,今回のニュースはVWだけにとどまらず,ドイツはもとより,世界の自動車産業全体に計り知れないダメージを与えることになりそうです. 国内においては東芝の不正経理が発覚し,企業イメージのダウンとともに損害賠償対応に負われることとなりました.これも経営トップによる利益追求圧力に現場が屈したという同様のケースかと思われます. こうしたトップの強硬な手法に待ったをかけるべき取締役会が機能しなかったことが悲劇の顛末を迎えることとなります. 今の私達の国の政界を見ていて,同様の危惧をいだくのはごく一部の人達だけではないはずです.

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