2015年8月17日月曜日

第30回KMAコンサート

本邦マンドリン音楽界の指導者であり,作曲家でもある久保田孝氏が主宰するKubota Musik Akademieの受講者発表会が昨日,川口総合文化センターリリア音楽ホールにて開催されました.これまで当コンサートは知りませんでしたが,愛好会の指揮者中野さんが指揮科を受講されていて今回指揮者として発表会参加することや,30回記念ということで,興味深い内容が盛りだくさんのような気がして聴きにいくことにしました.お盆休みの最終日でしたが,新幹線自由席にも座れ,予定通り東京に着きました.昼食は神楽坂の娘宅で済ませ,そこから会場へは30分余で着きます.リリア音楽ホールは600席の中ホールで,マンドリンコンサートには手頃な広さです. コンサートはフィロマン全員による「祝典の為の序曲」(久保田孝)で幕開けです.第1部は指揮科初級生による指揮発表で,器楽科のマンドリン4名による四重奏を指揮します.第1マンドリンの堀さんの演奏とリードは素晴らしく,むしろ指揮者がリードされているようです. 第2部は器楽科生徒の発表です.生徒全員による基本練習曲も堀さんがリードします.各生徒の発表はほとんどがマンドリン二重奏ですが,とりわけ,泊りさんと堀さんの演奏はその掛け合いが見事でした.泊りさんは前々回のソロコンでの演奏が印象に残っていますが,今回も素晴らしい演奏を聴かせてくれました.堀さんの奏する落合(特別仕様)のマンドリンは芯のある太目の音色が印象的でした.第2部ラストは「ナポリ~タランテラ」(メッツァカーポ)を生徒全員で一糸乱れず奏するといった趣向でしたがこれも見事でした. 第3部は器楽科研究生による独奏です.すべての曲が久保田氏作曲の無伴奏独奏曲ですが,いずれも久保田氏のロマンティシズムが感じられる佳曲でした.堀さんはラスト2曲の独奏でしたが,演奏前のコンセントレーションが若干やりすぎに感じられるのは日本人としての見方だからでしょうか.クラシックギターの大萩康司さんも長めのコンセントレーションで有名ですが,これも奏者の個性の表れでしょうね.ことに堀さんのはかなりのナルシストではと感じてしまいますが,海外演奏を多く経験すれば当たり前のことなのかもしれません.いずれにせよ,演奏自体はとても素晴らしいものであることに間違いはありません. 第4部は指揮科生徒の発表です.ラストが中野さん指揮による「序曲第2番」(久保田孝).奏者がついつい走り気味になってしまう曲のようでしたが,堂々とした指揮ぶりで迫力を感じさせる演奏でした. 第5部は久保田氏指揮による全員演奏の「幻想序曲ロメオとジュリエット」(チャイコフスキー).素晴らしい演奏ではあったのですが,私個人の感想としてはやはりこの曲は管弦楽による演奏だよなってのが正直なところです.特にギターの音の減衰は致し方ありません.とはいえ,久保田氏のロシア音楽,チャイコフスキー楽曲への敬意がとても感じられる演奏でした. 本日のコンサートで感じたことはクボタメソッドによる整えられた音の効果です.結果として各パートの音が一つのかたまりとして聴こえてくることで,撥弦楽器特有の粗さがカバーされていること.合奏で鍛えられた演奏の調整力(アゴーギクやディナーミク)が独奏にフィードバックされていること等です.マンドリン音楽教室の発表会としては実にクォリティの高い演奏を聴かせていただきました. 中野さんのお誘いで打上げ会にも参加してまいりましたが,丁度久保田氏の奥様が同じテーブルにおられたので,色々と面白いお話が伺え,楽しい時間を過ごす事ができました.
久しぶりの東京駅
JR川口駅
川口総合文化センターリリア
音楽ホール
全員合奏で幕開け

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