2011年12月31日土曜日

さよなら2011

最後の戦争以来,日本にとって最も過酷であったと思われる2011年が過ぎようとしています.超円高による産業界へのダメージが深刻な最中での3.11東日本大震災.その後のタイでの大洪水により産業界へさらに追い打ちをかけました.我が国基幹産業の代表である自動車産業界では生産拠点の海外移転に余念がなく,一番遅れているトヨタで6割,進んでいる日産,ホンダでは7割がすでに海外に出てしまっているとのことです.これまで日本を支えてきた工業技術力はこれら大企業とともに発展してきた中小の下請け企業の存在あってのものなのですが,今後これら企業がほぼ全滅するだろうと危惧されています.一方ではギリシャに端を発するユーロ圏の経済破綻により,世界マネーは一層の円買いへとシフトし円高に拍車がかかりました.震災による福島原発事故は今後数十年に渡り放射能汚染との対峙を強いることとなり,我が国の電力事業全体に見直しを迫られています.こうした国家危機の時こそ,火急の政治判断,対応が求められるにもかかわらず,政権に不慣れな幼稚な政党では応えられる術もありません.与党転覆のみしか頭に無い野党しかり,我が国の政治の未熟さがこれほど国民の嘲笑を買う年も無かったのではと思います.今年は日本だけでなく世界でも大きな変化の兆しがありました.米国のイラク撤退,アラブの民主化等々は世界の人々もこれまでの潮流からの脱皮を求めているかのように見えます.世界主要国の基盤であった民主主義や自由経済主義の考え方にも変化が生まれるかもしれません.資源の少ない日本は世界との関わり無しにはありえませんが,先ずは日本自身がどうしていくのかを政治家も国民も真剣に考えなくてはいけません.益々進む高齢化社会と1000兆円の借金はだれが支え,解消するのか避けて通れない問題です.
私は朝日新聞の愛読者のひとりですが,新聞社の基本理念による個人の考え方への影響は少なからずあるだろうと思います.例えば9年前のイラク戦争開戦時,戦争と自衛隊派遣に反対した朝日に対し,読売や産経は開戦と派遣を積極的に支持したようです.今回の事故をきっかけとした原発のあり方についても朝日や毎日は脱原発を,読売,産経,日経は反脱原発といった具合です.こうした社説掲載にあたり執筆側は読者に独り善がりに陥らないよう心して伝える努力をしたいとありますが,一般読者は各紙をくまなく読み通すことはまずありませんので,その影響はやはり受けるものでしょう.例として妥当かどうかわかりませんが,巨人軍ファンなので読売の読者であるケースが少なくないとすれば,社会問題への意識も新聞社の考えが浸透します.読者側にも情報に対するバランス感覚が求められる所以です.
今年はひとりひとりの「当たり前のこと」が3.11を境に一斉にリセットされたかのようです.
「当たり前のこと」を見つめ直し,行動する2012年でありたいと思います.

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