2011年8月21日日曜日

鈴木静一展

東京オペラシティコンサートホールにて鈴木静一展が開催されました.
当ホールは1632席ありますが,7割(1000人強)ほどの入りだったかと思います.演奏者は全国から集まった鈴木静一ファン139名です.
現在ではマンドリン演奏会にて単一の作曲家のみのプログラムはそうそうありません.もともと楽曲数自体が限られていますので,かような企画はもうしばらくは無いでしょう.私はたまたま今年新たな団体に入団したばかりでしたので,イレギュラーな企画に参加できるような余裕はありませんでした.が,きょうの演奏を聴き,演奏者としてステージに同席したかった思いは残ります.トリの「失われた都」は大合奏だからこそ成し得る音楽表現がありました.まさにビアンカ20周年記念演奏会でのアンコール曲「メリアの平原にて」のごとく,弾きたい曲にひたすら入魂の演奏をする気持ちが奏者の姿に表れていました.指揮者の小穴雄一さんもその思いは同じだったのではと思います.たしかに奏者とすれば打点の捉えにくい指揮だったかも知れません.しかし,その指揮は好きな曲を演奏できる歓びに満ち溢れていたように私には感じました.いわんやステージ上の奏者は全員が好きな曲を演奏できる楽しさを共有し,その歓びが溢れんばかりの演奏を客席に届けてくれたと思います.限られた練習だっただけに細かいつめの甘さはあったものの,演奏会の本来の趣旨に則ったその成果は,あらためて鈴木静一作品の評価を見直す良い機会を与えてくれたのではないかと思います.

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