2011年8月5日金曜日

BF創立20周年記念定期演奏会(続)

意を決して入団したBFですが,期せずして記念演奏会に参加できて本当に幸運でした.
当楽団の魅力はその奏者のレベルの高さとともに,ため息の出るような貴重なオールド楽器達の存在があります.ヴィナッチャ,エンベルガー,エジルド,ストリデンテ,カラーチェ,ジェラetc.これらは年代物だけに表面版は褐色を帯び,音色は乾いた澄んだ音色を発します.オールドは現代物と比べ一回り小型でネックも細いタイプが多いようです.したがって音量は若干落ちるのですが,BFの求める音は音量ではなくひたすら良い音です.音量は調整されたピッキングと第一生命ホールという響きの良い空間によるところが大きいと思われます.リハーサル時にはピアニシモの鳴り過ぎに神経を使っていた指揮者もいました.マンドリンのフォルテシモはたかが知れているので,ピアニシモをとことん落とさないと,よく鳴るホールでは結果としてダイナミックレンジが狭い演奏になってしまうのです.BFサウンドは枯れた音色のオールド楽器群とそれらの特性を導き出す奏者達と弱音をよく響かせるホールの特性によって成り立っていると言えます.
通常は実にフォーマルな演奏スタイルのBFですが,20回記念にかけるメンバーの意気込みは従来の殻を破る画期的なものでした.とはいえそこはBF,あくまでイタリアオリジナル曲で最大の演出効果を狙ったのが「四旬節」の選択であったと思います.視覚的にはベニスの仮面カーニバルです.一部メンバーは道化役としてステージを駆け巡ります.こうした演出をしながらも演奏自体はけして手を抜きません.
練習時にも皆が感じたことですが,マスクを着けたままの演奏は通常時と勝手がちがうことです.視界が制限されることがこれほど演奏しにくくなるとは意外でした.そこでマスク着用練習となるわけです.
演出効果がお客さんに受けている様子は確実に伝わってまいりました.最後の曲で疲れもきていたのですが,自然と力が湧き出てきました.しかもアンコールにはメリアが控えているのです.ラスト曲が終えて客席からは割れんばかりの拍手が沸きあがり,再びパワーがみなぎってまいります.あとはメリアを思い切り楽しみながら弾き終えることができました.久々に味わう至福のひとときであります.
BFの門をたたいておいて良かったと演奏会後1週間が過ぎてもなお感じているところです.

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