2013年6月25日火曜日

ARTE TOKYO第3回定期公演

ARTE TOKYO第3回定期公演は会場を昨年までの第一生命ホールから東京オペラシティ・コンサートホール・タケミツメモリアルに移しての開催となりました.席数でみれば770席から1630席への大幅増で,しかも全席指定です.さすがに勢いのある団体は違いますね.
今回のプログラムでは「舞踊風組曲第2番」(久保田孝)や「細川ガラシャ」(鈴木静一)を取上げ,昭和世代のマンドリンファンに対してのアプローチが感じられました.ARTEはメンバーのほとんどが平成生まれでは?と思われるほどの若手マンドリン奏者をそろえた新進気鋭の団体で,過去2回の公演プログラムも学生に圧倒的人気の丸本大悟や末廣健児らの作品で多くが占められておりました.もっとも彼ら自身がARTEメンバーでもあったのですが.したがって客層も20代が圧倒的で,私ども年配者は数えるほどしか見当たらず場違いのような思いをして聴いていたものです.
さて,演奏についてですが,さすがに若手奏者をそろえているだけあって,相変わらずエネルギッシュでスピード感にあふれた演奏スタイルにはある種の爽快感を覚えます.これらはすべてがコンダクター兼ディレクターである井上氏によるものです.指揮ぶりを伺うだけでそのカリスマ性が存分に発揮され,若い奏者達は文字通り,タクトの動きに促されるのが見て取れます.Allegroの速さは時に過剰とも思えるのですが,むしろLent,Adagioのたっぷりとした聴かせ方はその対比において非常に印象的です.ことに最終曲の「斎宮の記憶」(小林由直)において各楽器群が効果音を鳴らせる部分などは指揮の動きを止め,それこそある時間自由に弾かせることにより奏者だけでなく聴衆にもイマジネーションの増幅を図るような指揮ぶりはまさにマエストロそのものです.演奏会場の空気はそうしたオーラにいつの間にか包まれてしまっているのでしょう.
今回の演奏会に際して私としてはめずらしく事前に知らない曲目の予習をY-Tubeにてしてまいりました.「2つの動機」(吉水秀徳),「スタバート・マーテル」(藤掛廣幸)ともARTEが上質でした.指揮者による違いを見せつけてくれました.「斎宮の記憶」はARSNOVAの最終公演での演奏との比較なので興味津々でしたが,今回の演奏も感動的でした.でも自分が弾くとしたら,気力,体力がもたないだろうなとも思いましたが.
で,ラストアンコールでの昭和世代へのサービスが再登場.井上氏編曲と思われる昭和歌謡メドレー「木綿のハンカチーフ」~「見上げてごらん夜の星を」まで珠玉の名曲が並び,ついつい涙腺が・・・やっぱマンドリンの音色って琴線に触れるよなー.酒でも飲まなきゃ帰れないよなー,などとのたまわりつつ昭和男3人は居酒屋の灯りを求めて会場をあとにしたのであります.

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