2015年6月16日火曜日

久ぶりの映画

題名を目にしただけで観たいなと思い出かけました.「間奏曲はパリで」なんてしゃれたタイトルですね.久しぶりにパリの街並み風景も見てみたいし,間奏曲とはどんな?といった期待もあったのですが,実はノルマンディー地方の田舎暮らしに倦怠感を抱いていた熟年女性がふとしたことをきっかけに花の都パリへ出向き,一夜のアヴァンチュールを楽しむといった大人のお話.牛舎経営に熱心な夫とは農業大学での同窓生同士ですが,妻の方はなんの変哲もない牧畜農家の主婦としての日常生活から都会への憧れが募る.パリに行く目的は妻の胸元に広がりつつある湿疹を治療するためですが,夫が行先の診療所はすでに閉鎖されているにもかかわらず妻が泊りがけで出かけたことを不審に思い,車を駆ってパリまで追うことに.そこでは見知らぬ男と親しげに話す妻の姿を目にしてしまいます.失意のうちに夫はパリで働く息子の仕事場にふと立ち寄ります.サーカスでの軽業師を目指す息子に対し,これまで反対し続けていた父親でしたが,息子の目を見張るような芸に改めて感動し,息子の仕事への思いに理解を示すようになります. インテリの男性と一夜を共にした妻は何もなかったかのように田舎に帰宅し,夫も何気なく迎えます.実は夫自身も過去に浮気をし,妻に知れてしまった苦い経験がありましたので一方的に責めることができません.夫は若かりし頃を思い起こすべく,妻をレストランに誘いますが,そこでも夫の無骨で頑固な性分が災いし,店員とのトラブルを引き起こしてしまい,折角のデートも台無しになってしまいます.そんなことがあっても,夫は健気に,妻がパリで聞きつけたという死海での泥治療ツアーを本気で企画します.ある日,妻は夫が購入したと思われる絵葉書とレシートを見つけますが,その購入場所と日付がまさに妻がアヴァンチュールを楽しんでいたパリでのその日でした.妻はパリでの一部始終を夫に知れたと悟ります.そして夫の企画した治療ツアーを快く受け入れるのです.この妻の胸元の湿疹によるただれた状態は夫婦間の機微を表わしているのだと思います. 主演のイザベル・ユペールは日本では馴染みの無い女優さんですが,ヴェネチア国際映画祭やカンヌ国際映画祭で数々の受賞を果たしているフランスの名女優のようです.年齢は丁度私と同じ!中年女性の役柄としてはかなりの歳となりますが,実にチャーミングな仕草に魅了されてしまいます. さて,題名の「間奏曲」ですが,熟年夫婦の日常の営みをオペラにたとえ,パリでの非日常の出来事を間奏曲(Intermezzo)としてとらえているのでしょう.まさに夫婦は山あり谷ありのアンサンブルを奏でるようなものです. 久しぶりに映画館に足を運んだ月曜の昼,手軽に非日常を味わうのに映画は最適の娯楽ですね.

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