2014年1月21日火曜日

クラウディオ・アバド逝く

名指揮者の一人クラウディオ・アバドが亡くなりました.胃がんを患い,闘病の末の旅立ちです.私の所有するCDは基本的にカラヤンなので,アバドのはほとんどありませんが,わずかに2枚,ウィーンフィルとのブラ1とチャイ6がありました.したがってアバドに対する知識はほとんど無いのですが,1989年に帝王カラヤンから引き継いだベルリンフィルを統率するのはさぞかし大変だっただろうなとの印象が残ります.ここ数年のアバドの画像を見れば頬はこけ落ち,痩せ細った一老人の痛々しい姿です.勿論,病状が進んだ結果でしょうが,ベルリンフィルの,カラヤンの後任という重責がのしかかっていたのではないかと思われてなりません.アバドはカラヤンとは打って変わって明るく,柔軟に団員との関係を築いていったようです.私のごとく素人でも画像からうかがえるのは,団員と対等の立場で音楽を作り上げる姿勢です.カラヤンの専制君主的統治から脱した団員の解放感もあったと思われます.とはいえ,ベルリンフィルが世界一のオケに登りつめた背景にカラヤンの存在は欠かせません.音響ばかりでなく映像でも完璧主義のカラヤンは,自らの理想実現のためにオケを徹底的に鍛え上げ,他の追随を許さない高みを目指し続けました.これが,ベルリンフィルたる位置づけであり,世界のファンを魅了する所以であると私は思っています.しかしながら,ゲルマン本流の楽団にラテンの流れを注いだアバドの功績として,ベルリンフィルの新たなファンを創出したことも事実です.合掌.

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