先日の11日に録画しておいたNHKの番組「100分de名著 カミュ“ペスト”第1回~第4回」を見ました.読書が大の苦手な私にとってはこうした書物の解説番組は大変参考になります.見て驚いたのは,まさに今,世界的に蔓延している新型コロナウイルス感染の恐怖がペストに置き換わっているかのごとく綴られていることです.
作家のカミュが本作品を執筆したのは第二次世界大戦直後であり,世界の不条理をペストに置き換え綴ったものです.周囲の人間が次々とペストで死んでいく不条理を,主人公を取り巻く様々な人間像を通して描き出しています.迫りくる死への恐怖は神への信仰も超え,人間としての根源的な行動が求められています.作品の最後には終息が見えた段階でも,いつしか再び感染の恐怖にさらされる可能性を残したまま結末を迎えます.
本作品はまさに今,コロナ禍に覆われた世界の暗黒状況を再現したものといえます.感染病の恐怖と人間の本質をえぐり出す本番組はまさしく衝撃的であり,今後のコロナ対策にも大きな示唆を与えているようでもあります.
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