2017年7月18日火曜日

ビアンカらしさ

四半世紀の節目を経過した社会人マンドリン演奏団体が,次なる新たな方向性を模索しながらの演奏会であったような気が致します.イタリアオリジナル曲を中心に据えるスタイルに揺らぎはありませんが,従来のコテコテ的な味付けからかなりオリーブオイルを減らし,赤よりむしろ白ワインのほど良い酸味が良質なマリアージュとなるような音楽会といえましょうか.  イル・プレットロ誌を飾ったオリジナル作品を集めた1部では小品が並び,中では「ガボット・セレナーデ」(アマデイ)の品の良さ,「夜の静寂」(シルヴェストリ)の豊かな表現力が印象的でした.1部最後の「劇的序曲“情熱の翼に乗って”」(カペレッティ)は一般的に奏される譜面とは異なり,ティンパニが無く,ホルンが加わった版で,副題の付いた原典に最も近いとされると解説されていました.本曲は私が大学役員時の定期演奏会最後を飾る曲でしたので思い出深いのですが,かなりの違和感がありました.シンコペーションを多用しながら徐々に盛り上げていく緊張感も若干異質のものでした.むしろ私の大学時代の演奏のほうがそれこそコテコテのドラマティック性を帯びていたような.有名作品の汎用版を避け,より原典版に近いものを手掛けるところがいかにもビアンカらしいといえるかもしれませんね.  石村隆行氏の編曲作品を集めた2部では最後の「組曲“田園にて”」(ミケーリ)が本日の白眉でした.ミケーリ作品を得意とする当楽団の技術力,音楽性がいかんなく発揮された演奏で感動しました.相変わらず当楽団の指揮者たちは奏者からの音の出させ方が実に上手い!  さて今回はこれまでに無かったいくつかの気になった点がありました.強音後の休止での雑音や曲開始前の調弦の遅れ等です.使用楽器からプログラム,服装にまでこだわりを持つ楽団にはこうした些細な点にも気を配ってほしいものです.  アンコール曲はこの日命日となる細川ガラシャを偲び「劇楽“細川ガラシャ”」が演奏されました.どうやらミケーリで終わる時のアンコールはサプライズ傾向?のようです. アンコール曲ですのでそれ用に管楽器を用意するには至らなかったのかもしれませんが,本曲のハイライト部分はフルートやオーボエが欠かせません.少々物足りない「ガラシャ」でした.  そんなこともあって,それまでの白ワインテイストが散逸してしまったような気が致します.この日は「海の日」でしたので,因んだ佳曲でも演ってくれたら後味の余韻も違ったものになっていたかもしれません.  自他ともにクオリティの高さを誇るビアンカ,次のプログラムが楽しみです.
いつものトリトンスクエア
夕刻のトリトンスクエア周辺

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