絃楽器イグチで本場イタリア人によるマンドリンの公開レッスンが行われましたので出掛けてみました.講師マウロ・スクィッランテ氏はナポリ出身のマンドリン奏者であり,マンドリン属楽器に関する研究者でもあるとのこと.ビアンカの友人も受講するとのことで興味津津です.
本日の受講者は5名で,私は単なる聴講者の一人です.最初の受講者はマンドラによる夜想曲「星空」(R.Calace).知らない曲ですが親しみやすいいい曲のようです.
二人目の曲は「愛の唄」(C.Munier).ほとんど重音の無伴奏独奏曲で学生時代によく練習したものですが,なかなかきれいに弾けない難曲です.ソロコンでの課題曲にも取り上げられますね.この重音をどのようにきれいに聴かせるかということに神経を使いがちなのですが,講師は冒頭の主題の主旋律のみを“恋人に愛を語るがごとく”弾けといいます.こうしたところが一般の奏者の苦手なところかも知れません.テンポの変わり目も“恋人との間になにか変化が?”とか心情の動きを執拗に問います.技巧的なことよりもむしろ,その曲を弾くことにより聴き手になにを伝えたいのか,表現したいのかといったところを重視します.
三人目は女性マンドリン四重奏団で活躍中の奏者で曲は「Piccola Gavotta」(R.Calace).この曲も親しみやすい佳曲のひとつです.こんな曲をきれいに流れるように弾けたらいいなと思います.講師の指摘は2拍子の取り方,3回表れるフレーズのそれぞれの弾き方など具体的で参考になります.
四人目はビアンカ友人の「Polonese」(R.Calace).当曲もマンドリンソリストが好んで弾くピアノ伴奏付独奏曲です.友人の演奏はそれまでの奏者にくらべ明らかに音量が高めで,独特のエジルドサウンドを響かせていました.指導面は小指のリーチから始まり,ひたすら左手の構え方に終始しました.講師の印象として日本人の奏者のほとんどが左手の構え方がフレットに平行になっておらず,運指に問題があると指摘しておりました.
最終奏者は演奏家で指導者でもあるMさん.曲は「アリア第4番主題と変奏」(G.Leone)です.受講者自身も述べておりましたが,演奏技巧的にもかなりの無理を強いる難曲とのことです.さすがにMさんはほぼ完全に弾き切っていたように思いますが,講師からは入念な指導を受けておられました.指導者による指導者への講義はそれまでの内容と微妙に違うなと感じました.
5時間ほどのマンドリン講義でしたが,素人なりにも参考になる点がありました.人前で楽器を弾く時は,それにより何を聴き手に伝えるかを事前に整理した上で演奏に臨むことが大切とのことです.ごく当たり前のことなのですが,楽譜を読み込むことからですね.
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