2015年10月14日水曜日
フェスティバル2日目
いよいよ独奏部門本選です.課題曲は「Deep Obsession」(石橋敬三)でやはり効果音を駆使した現代作品です.題名を直訳すると「深くとりつかれた妄想」となるのでしょうか,それらしく聴かせるのはとても難しそうです.予選で1位通過の間宮さんの演奏はなんとなく石橋さんの演奏スタイルを連想させ,作曲者の意図に近いのかなと感じました.さて,注目の自由曲では間宮さんの選んだ「協奏曲ニ長調第3楽章」(ラニエリ)が,予選2位のベロニカさんと重なり興味深い競い合いとなりました.当曲は今から5年前の第22回全日本独奏コンクールで和泉亨さんが選んだ自由曲で,素晴らしい演奏を披露し見事1位を獲得された当時の様子が思い浮かびました.その和泉さんが昨日の四重奏部門で1stMを弾き,1位を獲得されています.間宮さんのラニエリは,その流れるような弱音の速いパッセージと切れの良いフォルテでメリハリの効いた心地良い演奏を繰り広げました.大学5年生とのことですが,実に堂々と落ち着いた演奏で,観客を唸らせる技量,音楽性を持ち合わせているのではと感じさせます.一方,ベロニカさんのラニエリは楽器のチューニングが狂い,本来の演奏ではなかったのではと思われます.卓越した技量を持ち合わせているだけに実に惜しまれる演奏でした.もう一人のドイツ人ミリアムさんは1曲目でバロックマンドリンを手にして登場し,鳥の羽で弾かれていました.その音色といい楽器と奏者が醸す高貴な雰囲気は,あたかも宮廷での音楽を鑑賞するが如くです.まさに国際コンクールならではですね.
コンクール終了後は昨夜同様,ゲストによるコンサートです.最初に登場された望月豪さんはマンドリンの為に作られた現代作品への取り組みに重点をおいた活動をされており,今夜のプログラムもそうした作品が数多く並びました.素人の私などには理解が及ばないのですが,最後のプログラム「タンゴの歴史」(ピアソラ)ではギター伴奏の山田岳さんとのデュオで,大変素晴らしい演奏を聴かせていただけました.続くコンサートは井上さん指揮,ARTE TOKYOオケによる「世界のプレクトラムアート」です.審査員の一人Steffen Trekelさんのマンドリン独奏による「マンドリン協奏曲ト長調第1楽章」(フンメル)はまさにドイツマンドリンの音色が生かされた心地良い演奏でした.コンサート最後に登場するのはRicardo Sandovalさん.南米ベネズエラの躍動感溢れるリズムが特徴で,世界をまたにかけ活躍されています.1曲目はマンドリン,2曲目はバンドーラでの演奏でしたが,その流れるような速弾きとエネルギッシュな音量は聴く者を圧倒します.まさにコンサートの最後を飾るに相応しいパフォーマンスを見せつけてくれました.
本イベントの最終は独奏部門の審査結果発表と両部門表彰式です.独奏1位から3位は予想通りの顔ぶれで,観客の多くも納得されていることでしょう.マンドリン界の明日を背負うであろう新しいプレーヤーの誕生を皆さんで祝福しましょう.
それにしても観客数の少なさがちょっと気になります.これほどのゲストや審査員の顔ぶれ,企画内容からしてもっと来場者があっていいですよね.精力的活動を続ける井上さんがせっかく東京開催をプロデュースしたというのに.今後も東京開催が実現できますようマンドリンを愛する皆さんで盛り上げてまいりましょう!
イベント終了後の懇親会では斯界における著名な方々とお話ができ,大変楽しい時間を過ごすことができました.
表彰式
左からマンドニコ,トレッケル,サンドバル
ドイツからの参加者
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