2015年6月23日火曜日
ベルリンフィル指揮者決定
ようやくというか意外にあっさり,ベルリンフィルの次期首席指揮者兼芸術監督が決定したようです.キリル・ペトレンコ氏(ロシア・43歳)は現在バイエルン州立歌劇場の音楽総監督として活躍しており,ベルリンフィルとは過去3回ほどの共演歴があるようです.ロシア系は勿論,ドイツ系の作品でも曲の解釈で高評価を得るようになり,2013年からはバイロイト音楽祭に連続して登場し注目されていました.本人は大のメディア嫌いのようですが,ベルリンフィル指揮者就任に当たり,全力を尽くすと表明されたとのことです.来年はウィーンフィルのコンマス,ライナー・キュッヒル氏が44年間君臨してきたその座を勇退されますし,ベルリンフィルとともにどのような展開を見せるか大いに楽しみです.
2015年6月17日水曜日
目利きの仕事
先日の映画「間奏曲はパリで」の原題は「La Ritournelle」です.フィトゥシ監督によれば悪く言えば“ルーティン”の意味で,日常繰り返される夫婦のありふれた生活を表わしているのですが,“シャンソン”の意味もあるとのことです.妻が時折耳にする音楽や歌も重要な役割となっているので音楽を連想させるようなタイトルにしたようです.そうした背景を考慮しても,しゃれた邦題をつけたものだと感心します.
さて,先日見ていたテレビ番組で,ビートルズ初来日時のエピソードを明かした内容のものが放送されました.その中でビートルズの本邦発売シングルレコードのタイトルを原題通りではなく,意訳した和名とすることにより日本のファンに受け入れられ,大ヒットとなった話題がありました.
さて,いよいよNHK番組「クローズアップ現代」で取り上げられた“目利きの仕事”です.コンピュータのめざましい進歩により,近い将来,人の仕事に取って代わる分野が出現し,失業者が続出する恐れがあるようです.確かに膨大なデータを処理するだけの業務であれば,コンピュータの方が圧倒的に優れ効率的に仕事をこなしてしまうでしょう.スマホ等の普及により現代人は情報をいとも簡単に取り出すことが可能となりましたが,その有り余る情報量に埋没し,本来の目的に情報を活かしきれていない現実が浮かび上がります.そこで注目されるのが“目利き”の作業です.個々人にとって本当に必要としているものは,単なる“もの”ではなく,固有の感性を刺激するものなのです.ですので“目利き”の作業はコンピュータではできません.これは人とコンピュータとの将棋戦に似ているような気がいたします.すなわち,コンピュータは人による“直感”や“捨身の戦法”に対して計算が及ばないのであろうと思います.
このところ国立大学文系の縮小化が話題になっておりますが,これこそ時代に逆行する愚策ではないでしょうか.物や時間は効率化できても人には限度があります.人が人たるところは情緒であり,情緒は効率化できません.
「間奏曲はパリで」の邦題も,ビートルズのシングルレコードの和名も人だからこその粋な感性から生まれました.
2015年6月16日火曜日
久ぶりの映画
題名を目にしただけで観たいなと思い出かけました.「間奏曲はパリで」なんてしゃれたタイトルですね.久しぶりにパリの街並み風景も見てみたいし,間奏曲とはどんな?といった期待もあったのですが,実はノルマンディー地方の田舎暮らしに倦怠感を抱いていた熟年女性がふとしたことをきっかけに花の都パリへ出向き,一夜のアヴァンチュールを楽しむといった大人のお話.牛舎経営に熱心な夫とは農業大学での同窓生同士ですが,妻の方はなんの変哲もない牧畜農家の主婦としての日常生活から都会への憧れが募る.パリに行く目的は妻の胸元に広がりつつある湿疹を治療するためですが,夫が行先の診療所はすでに閉鎖されているにもかかわらず妻が泊りがけで出かけたことを不審に思い,車を駆ってパリまで追うことに.そこでは見知らぬ男と親しげに話す妻の姿を目にしてしまいます.失意のうちに夫はパリで働く息子の仕事場にふと立ち寄ります.サーカスでの軽業師を目指す息子に対し,これまで反対し続けていた父親でしたが,息子の目を見張るような芸に改めて感動し,息子の仕事への思いに理解を示すようになります.
インテリの男性と一夜を共にした妻は何もなかったかのように田舎に帰宅し,夫も何気なく迎えます.実は夫自身も過去に浮気をし,妻に知れてしまった苦い経験がありましたので一方的に責めることができません.夫は若かりし頃を思い起こすべく,妻をレストランに誘いますが,そこでも夫の無骨で頑固な性分が災いし,店員とのトラブルを引き起こしてしまい,折角のデートも台無しになってしまいます.そんなことがあっても,夫は健気に,妻がパリで聞きつけたという死海での泥治療ツアーを本気で企画します.ある日,妻は夫が購入したと思われる絵葉書とレシートを見つけますが,その購入場所と日付がまさに妻がアヴァンチュールを楽しんでいたパリでのその日でした.妻はパリでの一部始終を夫に知れたと悟ります.そして夫の企画した治療ツアーを快く受け入れるのです.この妻の胸元の湿疹によるただれた状態は夫婦間の機微を表わしているのだと思います.
主演のイザベル・ユペールは日本では馴染みの無い女優さんですが,ヴェネチア国際映画祭やカンヌ国際映画祭で数々の受賞を果たしているフランスの名女優のようです.年齢は丁度私と同じ!中年女性の役柄としてはかなりの歳となりますが,実にチャーミングな仕草に魅了されてしまいます.
さて,題名の「間奏曲」ですが,熟年夫婦の日常の営みをオペラにたとえ,パリでの非日常の出来事を間奏曲(Intermezzo)としてとらえているのでしょう.まさに夫婦は山あり谷ありのアンサンブルを奏でるようなものです.
久しぶりに映画館に足を運んだ月曜の昼,手軽に非日常を味わうのに映画は最適の娯楽ですね.
2015年6月4日木曜日
加茂花菖蒲園
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