一昨日放送されたBS番組「指揮者なしのオーケストラ 第9に挑む!~究極のベートーベンを追い求めて~(再放送)」は実に興味深い内容で,楽器演奏を趣味とする者にとって大変参考となる番組でした.
奏者のそれぞれは第9を数えきれないくらい演奏経験のある者ばかりですが,指揮者なしというリスキーな挑戦は初めてで,本番までの練習経過はまさにスリリングで,あたかも自分がその場に居合わせているような感覚を抱きました.
指揮者のいないアンサンブルではコンマスが指揮者代わりともなるのですが,ベートーベンの第9ともなると,各楽器奏者もそれぞれが自分の演奏に相当なこだわりを持ち合わせており,テンポやアーティキュレーションに対するこだわりも時には対立することとなります.指揮者がいる場合は演奏の全体像は指揮者に委ねられますが,この場合は奏者同士で考えを述べ合うことや試奏を重ねることにより共通解を得ていく過程が重要となります.
こうした過程を経て得られる音楽は「揃う」ことよりも「音楽してる喜び」に満ち,大いなる感動を呼び起こします.
今,自分が所属している合奏団の練習に欠けている課題を再認識させてくれた番組ではありますが,実際に現場に取り入れようとしても,そのハードルの高さに尻込みしてしまいそうです.