2015年3月2日月曜日
合奏セミナー
2月28日(土)~3月1日(日)の2日間にわたる合奏セミナーに参加しました.会場は静岡市七間町通り沿いにあるコミュニティホール七間町MIRAIE.この七間町界隈は私が子供の頃は映画館が何軒か隣接し,ボーリング場やスケートリンクまで備わった市内随一のレジャースポットでした.近年,ほとんどの映画館が新装された静鉄静岡駅ビル内のシネコンに移ってしまい,人通りも途絶え,廃れてしまいましたが,当時の面影が偲ばれる店舗や,街路のモニュメントが散見されます.当会場も映画館の跡だったようです.
セミナー参加者は70名ほどで,東京のBFからも8名が来場されていました.講師を務めていただくのは第2回バルトーク国際オペラ指揮者コンクール優勝(2007年)の橘直貴氏です.課題曲である「夢の魅惑」(ボッタキアリ),「妖精組曲より“Sylphe”」(二橋潤一)は,これまで3回の合奏セミナー練習会にて愛好会指揮者による解釈で合奏練習をしてきましたが,プロの指揮者はこれら課題曲をどのように展開していくのか興味津々といったところです.
2日間にわたりトータルで8時間をかけ,和声に基ずく各パート音の意味あい,継続音のニュアンス等を深く掘り下げて解説いただけました.和声学を始めとする音楽理論にはまったく疎い私でも,なんとなく解ったような気分です.結果として,例えば「夢の魅惑」を奏すると,まさしく夢の世界に身をゆだねるが如く魅惑されている自分がいます.「世界一遅い魅惑を演奏しましょう」との講師の意図が,こうした音と音の行間に潜む響きやゆらぎといったものをより奏者に感受させやすくしているのではないかと思われます.「Sylphe」では作曲者の作品に漂うフランス風の薫りを風の妖精が運んで来るかのような気分にさせられました.
日頃,素人同士の楽団仲間で作り上げている音楽はそれなりに楽しいものではありますが,楽曲に含まれる微妙なニュアンスを奏者全員に認識させ,共有されることにより初めてその作品の持つ輝きが生まれるものなのでしょう.それには指揮者にそれなりの音楽理論が備わっていることが必要となるわけで,プロとアマの違いはそのあたりではないかと思われます.勿論,奏者側としての技量もある程度の水準が必要となるのですが,素人のマンドリン楽団においても指揮者の違いで,思いのほか音色や音量が変わってくることを度々経験しています.
さて,初日の夜はセミナー終了後,橘氏を囲んで飲み会となりましたが,氏の謙虚で穏やかな物腰は私ども素人にとりましても大変親しみを感じるもので,気さくにお話させていただくことができました.セミナー全体を通してもそのお人柄通り,穏やかで気品漂う音楽時間を楽しめたような気がいたします.今回のセミナー参加者はそれぞれが,現状の合奏クオリティをより高めたいとの志を持って集まった方々ですので,素人としての演奏技量は水準を満たしているはずですし,だからこそ,指示に対するレスポンスが的確で速いとの講師からお褒めいただいた所以でありましょう.これを機に,今後のマンドリン合奏に立ち向かうスタンスが一段高まっている自分を常に意識していきたいと思います.
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