昨日,第1回全日本マンドリン合奏コンクールが開催され,昭和女子大学人見記念講堂に参加団体が集まりました.
これまでマンドリン界において幾度か合奏コンクールが開催されては立ち消えとなっていたようです.今回主宰のARTE井上氏によれば,吹奏楽や合唱ではコンクールがTVで取り上げられる等,話題となり,レベルアップに貢献し,一般の人達にも大きな感動を与えている.翻ってマンドリン界は?との素朴な疑問が今回開催の大きな主旨となっています.すなわち,マンドリンの世界において不足しているのは「切磋琢磨」する場が無いこと,「正しい評価」する場が無いことと指摘されています.
第1回でもあり参加団体は非常に少なく,社会人団体で3組,学生団体で6組の参加でした.全国には数えきれないほどのマンドリン演奏団体がそれぞれの地域で様々な活動をしている現状の中で,演奏を審査してもらうということは大変勇気のいることであり,意義深いことであると思います.
今回のコンクールのポイントは今のマンドリン界をリードするそうそうたる指導者が12名も審査員として顔をそろえたことと,社会人と学生が共に集まり演奏を披露したことでしょう.
特にこのコンクールのためだけにイタリアから来日したUgo Orlandi氏が加わっていることは日本のマンドリン界を多角的に評価するだけでなく,イタリア発祥のマンドリンの良さを改めて認識する良い機会かと思います.その他の審査員もすべてが演奏活動や指揮,作曲等においてマンドリンに関わっている方々です.これだけの人数で審査すれば評価の偏りが無くなり,演奏者にとっても公正な審査と認識されるはずです.
マンドリン演奏コンクールは高校生対象のものが大阪にて定期的に開催されており,回を重ねるに従い,認知度が高まり,演奏レベルの向上にも貢献しているようです.ただ,社会人団体の人達が学生のコンクールを聴きに行くことは少ないようで,現状における高校生の演奏レベルを知らないのが実状でしょう.果たして,今回の高校生の演奏を聴いた社会人のほとんどがそのレベルの高さに驚き,自らの演奏内容,レベルを省みる良い機会となったようです.
審査結果は西遠女子学園が唯一の金賞を獲得,私の所属するBFを含め5団体が銀賞,残り3団体が銅賞となりました.BFに対する評価は審査員の好みがはっきりと表れやすい傾向のようです.私個人の評価では四日市商業高校の演奏がベストだったのですが,西遠女子学園とは僅差だったとのことです.私の母校の静岡東高校も僅差で金賞を逃したようですが,幼さが残る2年生だけでよく頑張っていました.ただ体の動きまでぴったりそろっていた演奏には少し違和感を感じたのですが,これが高校生の素直さの表れなのでしょう.まさに大人に欠けている部分といえます.
大切なことは,折角立ち上げた今回のコンクールを継続させることです.こうした企画を立案,運営した井上氏およびARTEのスタッフには計り知れないご苦労があったと思われます.全国の社会人団体も殻を破って積極的に参加し,マンドリンの良さを皆で分かち合えるようになればどれほど素晴らしいことかとの思いを新たにしました.