2012年7月24日火曜日

コムラード第40回記念演奏会

初めて聴くコムラード演奏会が第40回記念演奏会でした.会場の紀尾井ホールも初めて訪れました.近くには上智大学が控え,ホール正面には桜並木があり中々いい雰囲気の場所です.
記念演奏会らしくプログラムには過去の演奏歴が載っており興味深く読みました.鈴木静一氏が名付けたコムラードは当時,東京の各大学マンドリンクラブのトップクラスを集めた合奏団だったようです.マンドリン界で有名な合奏曲とともにちりばめられた高難度の独奏曲が当時の演奏レベルを連想させます.その後,紆余曲折を経ながらも40年の歴史を積み重ねた由緒ある合奏団です.
今回の聴きものはなんといっても交響詩「失われた都」です.鈴木静一全作品に取り組むこの楽団にとってはひとつの集大成的プログラムといえるでしょう.
折しも昨年催された鈴木静一展でのラストが当曲であり,否が応でも比較対象となります.昨年の「都」は全国から鈴木静一ファンが東京オペラシティ・タケミツメモリアルホールに一堂に会した一大イベントでの演奏でした.小穴雄一氏指揮の下,100名余が奏する「都」はその演奏規模といい話題性といいまさに斯界の注目を集めました.客席で聴く私もその圧倒的な気迫に打ちのめされ,震えるほどの感動を味わったものです.
さて本日のコムラードです.13:00開場後しばらくして数名によるロビーコンサートが始まりました.こうした演奏は普段と勝手が違うものでかなり緊張気味のようでした.調弦もわずかに気になりました.
本番1部1曲目は日高氏指揮による自作品「フレア」.現代的作品で作者の題名通りのイメージがなんとなく伝わります.2曲目「絃楽の為の3楽章 トリプティーク」(芥川也寸志)は一度も弾いたことがなく,いつかやってみたい曲の一つです.比較的遅めのテンポでしたがワクワク感はありました.3曲目「アリババと40人の盗賊」(鈴木静一)はプロによるナレーション付の音楽物語ですが私にはいまひとつでした.自分としては「朱雀門」を聴いてみたいなと思いつつ「アリババ」を聴いていました.
2部は飯塚氏指揮による演奏です.1曲目「マンドリニストの群れ」(ブラッコ)はマンドリンオリジナルのスタンダードで聴きなれた曲です.こじんまりまとまっている印象でした.ラスト曲を考慮したエネルギー調整といったら失礼になってしまうかもしれません.2曲目「アダージェット 交響曲第5番第楽章」(マーラー)は期待以上の出来でした.こうした曲こそ指揮者の思いがにじみ出るもので,ましてや編曲者自身であればなおのことです.飯塚氏の指揮は初めて見たのですが,そこかしこにロマンティシズムを感じさせる印象です.そしていよいよラスト曲,コムラードの「失われた都」(鈴木静一)です.序盤で感じるのは中低音部の厚みがもう少し欲しいということです.ドリンと比べドラ,チェロの本数がもっとあればバランスがとれる気がします.ギターはよく鳴っていました.中盤以降で管楽器は弦楽器とのからみにおいてほんのわずかに浮いたような気がします.ホールのせいもあるかもしれません.パーカッションは全休止での残響が気になりました.
これらほんのわずかに気になることはごく些細なことで,全体として感じるのは「都」に対するコムラード奏者の熱い思い,40年の歴史の重みです.昨年の「都」と比較しても勝るとも劣らぬ気迫を存分に感じることができました.飯塚氏の体全体から発する「都」への思いが指先から奏者に向けてほとばしり,奏者も全身で受け止める.ステージがまさにひとつに昇華したかのような合奏の姿がありました.私もこんな仲間と演奏してみたかったなとの思いが昨年同様に甦りました.
「都」は多種の管楽器や打楽器を駆使した大曲だけにかなりの奏者数とそれなりの会場が求められ,頻繁に演奏機会のある曲ではありません.今後弾く機会があるのかわかりませんが,チャンスがあればやってみたい曲ではあります.

2012年7月16日月曜日

今朝の天声人語より

幸いと辛いはかくも近いことを詠った福島の詩人の一首が載っていました.
横棒が抜けて暗転,諸行無常であるとありました.
似たようなことで・・・
「涙を止めれば笑顔に戻れる」
「泣くのを止めれば立ちあがれる」
「隣に誰か人がいるだけで憂いは優しさに変わる」
等が週刊誌に掲載されていたような・・・
このところの悲しい出来事について,辛い話も見方を変えれば幸せになる.
思い出したくない過去の一つや二つ誰にもあろう.
心優しき人ほど悲しいこと悔しいを引きずるものだが,
辛い記憶ばかりため込んでは人生もったいない.
そうですよね.ものは考えようです.
しんどい時ほどプラス指向でありたいものです.

2012年7月9日月曜日

BF定期演奏会終了

朝の集合時は小雨まじりの天候でしたが,演奏会開始時刻には天候も回復したようです.
今回は初めてのチケット有料化での開催でしたので,チケット担当のKさんは席数調整にそれはそれは大変なご苦労をされたことでしょう.
さて,いよいよ本番の演奏が始まりました.
Ⅰ部1曲目は「序曲二短調」(ファルボ)です.気合いを入れて臨んだのですが,不安を暗示する曲の出だし通り弱音の打ちが気弱になってしまいました.やはり本番会場の独特の雰囲気なのでしょうか.第一主題Allegroからはまずまずの入りです.第二主題あたりから曲に乗れ,次第に音の感動に包まれました.これだけのドラ,チェロの数とホールの響きがシンクロし,波動が心を揺さぶります.終盤のPiu Mossoはリハより早目のテンポとなり少し戸惑いましたが,なんとか食いついていき最終音のレ全音符を熱い想いを込め弾ききりました.当曲は学生時代に定演役員として選曲し,演奏して以来,一度も演奏機会に出会えませんでした.同じ社会人団体に長いこといれば弾く機会もあったのかもしれませんが,転勤族として数年ごとに各地を渡り,その地の団体に入団する繰り返しでしたのでかみ合わなかったのかもしれません.今回のBFでも当初の予定には無く,途中から浮上してきた曲でした.37年前の大学定期演奏会と同様,プログラム1曲目としてこの曲を弾く巡り合わせに感慨を覚えます.
「田園写景」(ファルボ)は10数年前に静岡マンドリン愛好会にて弾いた曲ですが,ほぼイメージ通りに弾けました.コンミスTさんのヴィナッチャ・ブレベッタートによるソロ部分もきれいに鳴り響きました.
「海の組曲」(アマディ)は客演指揮者木下氏のもとでの演奏です.これまでにないテンポの揺らぎが勉強になりました.
後半Ⅱ部は「フルート協奏曲第7番ホ短調」(ドヴィエンヌ)です.これは当団きっての名人Yさんの華麗なソロ演奏が聴きものです.力みのない流れるようなマンドリンの音色がホール内に奏でられます.実はこのバック演奏がかなり苦労しまして,コンミスTさん呼び掛けにより久しぶりに1stパート練習を行い,各人の演奏を細部までそろえたものです.3楽章を弾き終えた後,特別アンコール曲として無伴奏バイオリンソナタ第2番アンダンテ(バッハ)をマンドリン無伴奏独奏で演奏されました.無伴奏だけにガエタノ・ヴィナッチャの澄んだ音色がより一層心地良くホールに響きます.
「交響的間奏曲」(カペレッティ)は大編成の管弦楽曲をマンドリン合奏用に編曲されたものです.BFの重厚な中低音にティンパニやシンバルを加えた迫力満点の合奏曲です.弾き手はついつい指揮者Tさんのタクトに煽られてしまいます.
ラストは「叙景的幻想曲イル・トルネオ」(カルリーニ).吹奏楽作品を石村氏がマンドリン用に編曲したもので今回が初演となります.16世紀まで西欧で流行した馬上槍試合を叙景的に表現した作品で17分程の大曲です.残るエネルギーを振り絞りなんとか最後まで演奏できました.指揮者Tさんも汗だくの熱演で,途中でぶっ倒れないか心配になったほどです.
アンコール曲は木下氏指揮による「ローレライ.パラフレーズ」.とにかくきれいに弾くことを心掛けました.
自分にとっては2回目となるBF定期演奏会を無事弾き切ることができました.一部,技術的に消化しきれないところもありましたが,それなりの達成感は味わえました.
通常はこれでBFのシーズン終了となるのですが,今年は8月に京都公演と第1回全日本マンドリン合奏コンクールが控えていますのでまだまだ気を抜けません.もうひとふんばりです.

2012年7月4日水曜日

BF直前練習

いよいよBF第21回定期演奏会が週末の日曜日に迫りました.
本番前日にも練習がありますが,これは最終確認みたいなもので,細かな指示の徹底等含め,実質の練習は先日の日曜練習が最終となるのかもしれません.
1stも2ndも急遽参加できなくなる団員が相次いで出てきて,若干の緊張感が漂いました.特に2ndの人数が昨年の7割ほどとなり,1stとのバランスが微妙になりそうです.ですが,ここへきてパート編成の変更などできませんので,各パート内でカバーするしかないのです.本日の練習でも部分的に2ndが追求されました.パートリーダーのストレスは高まるでしょうが,なんとか頑張ってほしいものです.
自分としてはファルボの2曲はなんとか自分のものになってきたかなって感じです.
今回の演奏会では一番思い入れのある「ニ短調」がしょっぱなですので最初から思い切り飛ばします.
昨年は一番弾きたかった「メリア」がアンコールだったためエネルギーの温存をかなり意識していました.今回は最後までエネルギーを残せるか心配ですが,アンコールは気張って弾く曲ではないのでなんとかなりそうです.ラスト曲の大曲が部分的にタフなところがあり課題ですが,残り数日でカバーするつもりです.
通常は日曜練習の後の飲み会は無いのですが,実質の最終練習打上げの意味でいつものメンバー3人で反省会.お互いやり残しの部分は若干あるものの,やはりBFでやるイタオリはいいなあといつもの締め言葉でおひらき.
さあ,あとは本番で気分良く弾くだけ・・・となればよいのですが.